特許・商標登録・意匠登録、著作権・国際契約・訴訟事件・知的財産権全般を扱う秀和特許事務所
2016年
開催日
事件番号平成28年7月28日 平成28年(ネ)第10023号
技術分野特許
キーワード用途発明の実施
担当弁理士菅家博英
原告X
被告興和創薬株式会社
判決結果請求棄却(特許権非侵害)
争点被告製品の製造販売が特許発明の実施に該当するか
事案の概要

被告製品が特許第4778108号「メニエール病治療薬」を侵害するとして、原告がその実施の差し止め及び損害賠償を求めてなされた原審の控訴審である。
裁判所は主に以下のように判示し、被告製品の製造販売は特許発明の実施に該当しないと判断した。

・・・本件発明は、イソソルビトールという既知の物質につき新規な用途を創作したことを特徴とする用途発明であるから、被告製品の製造販売が本件発明の「実施」に該当するというには、当該製造販売が新規な用途に使用するために行われたことを要するというべきである。しかしながら、前記第2の1(3)イの前提事実によれば、被告製品の添付文書及びインタビューフォームにおける用法用量は、1日体重当り1.5~2.0mL/kgを標準用量とするものであって、本件発明の構成要件Aにいう用途とは明らかに異なるものであり、そのほかに被告製品の製造販売が当該用途に使用するために行われたことを認めるに足りる証拠もない。したがって、原告の主張は、用途発明の意義を正解しないものであって、独自の見解というほかなく、採用することができない。

開催日
事件番号平成27年(ワ)第12480号
技術分野機械
キーワード
担当弁理士山田修一
原告フルタ電機株式会社
被告株式会社ニチモウワンマン、Y、ニチモウ株式会社、西部機販愛知有限会社
判決結果一部認容
争点
事案の概要

原告は、発明の名称を「生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置」とする発明についての特許権(特許第3966527号)を有する原告が、被告人らによる「生海苔異物除去機」に対するメンテナンス行為等が特許権侵害行為であるとして、差止請求した第1審である。

被告らによるメンテナンス行為では、「生海苔異物除去機」に対して、摩耗した「固定リング」および「板状部材」の交換が行われており、この「固定リング」および「板状部材」は本件発明の共回りを防止する手段に該当すると判断された。

「固定リング」および「板状部材」の摩耗によって共回り,目詰まり防止の効果を喪失した被告装置は,本件各発明の「共回りを防止する防止手段」を欠き,もはや「共回り防止装置」には該当しないと解され,新しい本件固定リング及び本件板状部材の両方,あるいは,いずれか一方を交換することにより,新たに「表面側の突出部」,「側面側の突出部」を設ける行為は,本件各発明の「共回りを防止する防止手段」を備えた「共回り防止装置」を新たに作り出す行為と判断された。

その結果、被告らの上記メンテナンス行為は、特許法第2条第3項第1号の「生産」に該当すると判断され、被告らによる上記メンテナンス行為は、特許権を侵害すると判断された。

開催日
事件番号平成28年3月30日 平成26年(ネ)第10080号、平成27年(ネ)第10027号
技術分野電池
キーワード容易想到性、除くクレームへの訂正の適法性
担当弁理士倉元なぎさ
原告日揮触媒化成株式会社
被告三井金属工業株式会社(特許権者)
判決結果請求認容(判決中控訴人敗訴部分の取消)/付帯控訴の棄却
争点 1. 本件発明1の容易想到性について
2. 訂正発明1に係る本件訂正の適法性について
事案の概要

特許権者である被控訴人が、控訴人によるスピネル型マンガン酸リチウムの製造・販売行為が特許権侵害行為であるとして、差止等請求していた訴訟の控訴審である。無効審判で本件特許が全部無効との審決を受け、特許権者である被控訴人は本件発明1を除くクレームとなる訂正発明1に訂正することを請求した。

本判決では、訂正発明1に係る除くクレームへの訂正について、除いた後の発明の目的物の形態が本件明細書に明示的に記載がなく、本件明細書の記載から自明な事項ともいえないとして、不適法とした。

また、本件発明1の容易想到性について、無効審判における東京地裁による引例を組合わせることに阻害要因があるので進歩性ありとの判断を覆し、特許権者である被控訴人が主張する阻害要因については引例を組合わせることを阻害するほどの事情とはいえないとした審決取消訴訟の判断に倣い、容易想到とした。

開催日
事件番号平成27年12月24日 平成26年(行ケ)第10263号
技術分野医薬
キーワード進歩性欠如
担当弁理士安西悠
原告セルビオス-ファーマ エス アー
被告ザ トラスティーズ オブ コロンビア ユニバーシティ イン ザ シティ オブ ニューヨーク、中外製薬株式会社
判決結果請求棄却
争点進歩性の有無、実施可能要件違反の有無、サポート要件違反
事案の概要

特許第3310301号について、原告がした特許無効審判請求(無効2013-800080号)を不成立とした審決の取消訴訟。裁判所は、進歩性欠如に関し、以下のように判示した。

目的化合物の前駆物質の候補を机上で想定できるとしたが、以下の理由により、前記物質から目的化合物までを所定の1工程反応で合成できることに容易に想到できるとは認めなかった。甲3に記載された出発化合物と試薬との反応はアミド結合を形成するものであり、甲3の開示と甲2発明2とは、目的とする化合物の構造が大きく異なり、かつ、形成される結合も異なる。しかも,甲3には,2工程反応と1工程反応とが記載されているが、単に併記されているにすぎず、それぞれの利点等についての記載もない。そうすると,2工程反応に代えて1工程反応を適用することを、当業者が格別な創意工夫を要することなくなし得たとすることはできない。

開催日
事件番号平成27年11月24日 平成27年(行ケ)第10026号
技術分野機械
キーワードサポート要件
担当弁理士増渕敬
原告株式会社ミクニ
被告株式会社デンソー
判決結果請求認容
争点実施可能要件・サポート要件違反
事案の概要

「回転角検出装置」に関する特許第3438692号について、被告がした無効審判請求(無効2012-800140号事件)を不成立とした審決の取消訴訟。裁判所は、サポート要件違反に関し、以下のように判示した。

訂正発明1の特許請求の範囲の特定では、訂正発明1の前提とする課題である「熱変形により縦長形状のカバーの長手方向が短尺方向に比べて寸法変化(位置ずれ)が大きくなること」に直面するか否かが不明であり、結局、上記課題自体を有するものであるか不明である・・・よって、訂正発明1は、上記課題を認識し得ない構成を一般的に含むものであるから、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えたものであり、サポート要件を充足するものとはいえない。