特許・商標登録・意匠登録、著作権・国際契約・訴訟事件・知的財産権全般を扱う秀和特許事務所
2015年
開催日
事件番号平成27年7月21日 平成27(行ケ)10009号
技術分野機械
キーワード進歩性
担当弁理士関誠之
原告パスカルエンジニアリング株式会社
被告株式会社コスメック
判決結果請求認容(無効審決取消)
争点容易想到性
事案の概要

自動往復運動をしているピストンの行程端を検知しようと試みて,動作切替手段の一部にすぎない二方パイロット弁にピストンの行程端の検知機能を持たせようとする合理的理由がないから,甲2発明の二方パイロット弁を,甲1事項2のプランジャ型スイッチに敢えて置換しようと動機付けられるとはいい難いと判断した。

開催日
事件番号平成27年9月24日 平成26年(行ケ)第10026号
技術分野合金
キーワード進歩性
担当弁理士菊池美香
原告新日鐵住金ステンレス株式会社
被告日新製鋼株式会社
判決結果請求棄却
争点引用発明を本願発明の用途に用いることに想到し得るか否か
事案の概要

引用例のフェライト系ステンレス鋼は,自動車エンジンのマニホールド(排気ガス管)等に好適なものであって、燃料電池用石油系燃料改質器の部材として使用することについての記載も示唆もない上,当業者であっても,引用例に係るフェライト系ステンレス鋼が,少なくとも燃料電池用石油系燃料改質器に要求される高温水蒸気耐酸化性及び耐熱疲労特性を備えるものと予測することは困難であるから,引用例に係るフェライト系ステンレス鋼を、燃料電池用石油系燃料改質器に用いることについての動機付けがないというべきであると判断し、用途の相違のみをもって進歩性が認められた。

開催日
事件番号平成27年8月5日 平成26年(行ケ)第10238号
技術分野活性発発泡体
キーワード実施可能要件
担当弁理士阿津川裕佳
原告X1、X2
被告特許庁長官
判決結果請求認容
争点実施可能要件を満たすか否か
事案の概要

審判官は、本願発明が実施可能要件を満たすためには、「本願発明に用いる『活性発泡体』が、薬剤投与の際に人体に直接又は間接的に接触させて用いること」により「癌等の病気の治癒を促進することができる」こと、すなわち、活性発泡体と薬剤とを併用することで薬剤の効果が上がることを当業者が理解し認識できるように記載されているこが必要である、と判断し、そのような記載がないとして本願発明に拒絶審決をした。

裁判所は、本願発明の請求項における「薬剤投与の際に」とは、その文言からして、活性発泡体を用いる時期を特定するものにすぎず、その請求項において、薬剤の効果を高めるとか、病気の治癒を促進するなどの目的ないし用途が特定されているものではないとし、本願発明は活性発泡体であるから、本願発明は物の発明であり、本願発明が実施可能であるというためには、本願明細書及び図面の記載並びに本願出願当時の技術常識に基づき、当業者が、本願発明に係る活性発泡体を作ることができ、かつ、当該活性発泡体を使用できる必要があるとともに、それで足りるというべきであると判示した。

開催日
事件番号平成27年6月16日 平成26年(ネ)第10104号
技術分野窒化物半導体素子
キーワード特許発明の構成要件の限定解釈
担当弁理士筧ちひろ
原告日亜化学工業株式会社
被告三洋電機株式会社
判決結果請求棄却(非侵害)
争点構成要件充足性、特許発明の技術的範囲の解釈(特許請求の範囲に記載されていない、下面から5μmより下の領域の結晶欠陥の数)
事案の概要

被告製品は、特許請求の範囲の文言上は構成要件を充足するが、構成要件Aの「GaN基板」の意義について明細書の詳細な説明の記載並びに本件特許の出願経過を踏まえて検討すると、構成要件Aの「GaN基板」は、基準面より下の領域の結晶欠陥の数が上の領域のそれよりも相対的に多いものとして特定されるGaN基板を意味するものと解するほかはないとして、特許発明の技術的範囲を限定解釈し、構成要件を充足しないものと判断することが相当であるとされた事案。

開催日
事件番号平成27年6月5日 平成24年(受)第1204号判決概要、平成27年6月5日 平成24年(受)第2658号判決概要
技術分野医薬
キーワードプロダクトバイプロセスクレーム
担当弁理士石丸竜平
原告テバ ジョジセルジャール ザートケルエン ムケド レースベニュタールシャシャーグ
被告協和発酵キリン株式会社(平成24年(受)第1204号)、株式会社東理(平成24年(受)第2658号)
判決結果差し戻し
争点特許請求の範囲に記載された製造方法により製造される物に限定して認定されるべきであるか否か
事案の概要

製造方法によって特定された物(プラバスタチンナトリウム)の技術的範囲について、製造方法により製造された物と構造、特性等が同一である物として認定されることが相当とと判断されている。

開催日
事件番号平成27年2月18日 平成26年(行ケ)第10057号
技術分野入金システム
キーワード限定的減縮
担当弁理士増渕浩美
原告楽天株式会社
被告特許庁長官
判決結果請求棄却
争点増項補正が「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当するか否か
事案の概要

原告は、拒絶査定不服審判の請求と同時に、特許請求の範囲の減縮を目的として、請求項1の補正及び請求項2を追加する補正をした。これに対し、補正前の請求項と補正後の請求項とが一対一の対応関係にないような請求項を増加させる補正は,「特許請求の範囲の減縮」に該当しないとして当該補正が却下され、原告は審決取消訴訟を提起した。

裁判所は、補正が「特許請求の範囲の減縮」を目的とするか否かは,いわゆる増項補正であるかどうかではなく,①特許請求の範囲の減縮であること,②補正前の請求項に記載した発明を特定するために必要な事項を限定するものであること,③補正前の当該請求項に記載された発明と補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であること,という要件を満たすことが必要かつ十分であると判示した。なお、上記補正は、①~③の要件を満たさず、「特許請求の範囲の減縮」に該当しない、として請求が棄却された。

開催日
事件番号平成27年3月11日 平成26(行ケ)10204号
技術分野
キーワード
担当弁理士諌山雅美
原告コスメディ製薬株式会社
被告株式会社バイオセレンタック
判決結果審決取消
争点経皮吸収剤が目的物質を有する一定の態様を特許発明から除く訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとして認められるか否かが争われた
事案の概要

無効審判において、被告(特許権者)は、経皮吸収剤が目的物質を有する態様を特定する引用発明による新規性違反を解消するために、該態様を特許発明から除く訂正請求を行った。しかしながら裁判所は、物(製剤)の発明は形状、構造、組成、物性等によりそれ自体を特定すべきであり、使用態様による特定ではその製剤が物として技術的に明確とはいえず、該訂正は特許請求の範囲の減縮に該当しないとして、該訂正を認めた原審決を取り消した。

開催日
事件番号平成26年(行ケ)第10027号
技術分野
キーワード
担当弁理士堺繁嗣
原告保土谷化学工業株式会社
被告出光興産株式会社
判決結果請求認容(審決取消)
争点引用発明の文言の解釈と選択発明の要件
事案の概要

判旨事項:選択発明の特許性が認められるためには、先行の公知文献に記載された発明と比較して顕著な特有の効果を有することが必須である。

開催日
事件番号平成25年(行ケ)第10250号
技術分野回路用基板
キーワード実施可能要件
担当弁理士杉江顕一
原告宇部興産株式会社
被告東レ・デュポン株式会社
判決結果審決取消(請求認容)
争点被告の特許(特許第4777471号)が実施可能要件を満たすか否か
事案の概要

本件発明は、3~7ppm/℃という低い数値の幅方向(TD)の熱膨張係数を有するポリイミドフィルムであるが、本件明細書は、具体的に溶媒含量、温度条件、延伸速度等をどのように制御すれば熱膨張係数が小さくできるのかについて具体的な指針を何ら示していないため、特に熱膨張係数の数値の大きい4,4’-ODA/BPDAの2成分系ポリイミドフィルムについてはこれを製造することができない。

開催日
事件番号平成26年(ワ)第654号
技術分野特許
キーワード先使用権
担当弁理士高橋勇太
原告P1
被告株式会社コスメロール
判決結果請求棄却(侵害不成立)
争点被告がいわゆる先使用権を有するか否か
事案の概要

被告が製造・販売する化粧品が特許第4356901号「繰り出し容器」を侵害するとして原告が被告に対して損害賠償請求をした事案である。裁判所は、主に以下のように判示し、被告がいわゆる先使用権を有するとして原告の訴えを棄却した。

・・・以上のとおり,被告は,本件特許発明につき,「特許出願に係る発明を知らないでその発明をした者から知得して,特許出願の際現に日本国内においてその発明の実施である事業をしている者」に当たるから,少なくとも前訴口紅容器の実施形式の範囲で先使用権を有するものである。そうして,前訴口紅容器と,被告容器は,その構成において同一であるから,被告容器についても,同様の先使用権が成立する。

したがって,被告が本件口紅を販売等することは,原告の有する本件特許権の侵害には当たらない。

開催日
事件番号平成24年(ワ)第15621号
技術分野合金
キーワードパラメーター 差止め 衡平
担当弁理士杉本良平
原告JX日鉱日石金属株式会社
被告三菱電機メテックス株式会社
判決結果請求棄却
争点 被告各製品が構成要件Dを充足するか否か(争点2-2)
差止の必要性があるか否か(争点5)
事案の概要

証拠によれば,被告各合金について,X線ランダム強度比の極大値を測定した結果は,別紙「被告各合金のX線ランダム強度比の極大値一覧」のとおりであると認められ,これによれば,被告合金1のうちの甲4のサンプルのX線ランダム強度比の極大値は7.601ないし8.185であり,被告合金2のうちの甲5のサンプル1のそれは8.185ないし8.770であるから,これらは構成要件Dを充足し,他はこれを充足しない。

原告が特定した被告各製品を差し止めると,被告が製造した製品毎にX線ランダム強度比の極大値の測定をしなければならないことになるが,これは,被告に多大な負担を強いるものであり,こうした被告の負担は,本件発明の内容や本件における原告による被告各製品の特定方法等に起因するものというべきであるから,被告にこのような負担を負わせることは,衡平を欠くというべきである。

これらの事情を総合考慮すると,本件において,原告が特定した被告各製品の差止めを認めることはできないというべきである。

開催日
事件番号平成26年(行ケ)第10107号
技術分野特許
キーワード進歩性
担当弁理士増渕敬
原告X1、X2
被告エヌイーシ-ショットコンポネンツ株式会社
判決結果一部認容
争点進歩性の有無
事案の概要

「抵抗付温度ヒューズ」に関する特許第3552539号について、被告がした無効審判請求(無効2013-800007号事件)を成立とした審決の取消訴訟において、裁判所は、進歩性の有無に関し、以下のように判示した。

当業者が引用発明と甲5記載の事項に基づいて相違点3に係る本件発明2の構成に容易に想到し得るとはいえないとした本件審決の判断には誤りがあり,また,本件審決によれば,引用発明に甲3発明の技術を適用して相違点1に係る本件発明2の構成を容易に想到し得るというのであるから,本件発明2は,引用発明と甲3及び甲5記載の事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたといえるから,これと異なる本件審決の判断は誤りである。

開催日
事件番号平成25年(ワ)第4040号
技術分野特許
キーワード均等論
担当弁理士菅家博英
原告中外製薬株式会社
被告DKSHジャパン株式会社、岩城製薬株式会社、高田製薬株式会社、株式会社ポーラファルマ
判決結果請求認容(特許権侵害)
争点被告方法が特許方法と均等か否か
事案の概要

被告方法が特許第3310301号「ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法」を侵害するとして原告がその実施の差し止めを求めた事案である。裁判所は主に以下のように判示し、侵害を認めるとともに被告の実施行為の差し止めを認めた。

・・・以上検討したところによれば,被告方法は訂正発明の構成と均等なものとして,訂正発明の技術的範囲に属する(したがって,当然に本件発明の技術的範囲にも属する)というべきところ,訂正発明について被告ら主張の無効理由が存在するとはいえないから,本件発明についての訂正が認められる以上,本件発明についての特許が特許無効審判により無効とされるべきものとは認められない。

(2) 前記前提となる事実によれば,被告製品1は被告方法によって製造されたマキサカルシトール原薬であり,被告製品2はいずれも被告方法で製造されたマキサカルシトールの製剤(すなわち,被告方法によって製造されたマキサカルシトールを原薬〔有効成分〕として含有する製剤)であることが認められるから,被告製品1を輸入し又は譲渡する行為は本件特許権の侵害を構成し,また,被告製品2を譲渡し又は譲渡の申出をする行為も本件特許権の侵害を構成する(特許法2条3項3号)。

したがって,原告は,特許法100条1項に基づき,少なくとも本件特許権の存続期間の延長登録がされる前における存続期間の末日である平成29年9月3日(なお,本件訴訟において,原告が上記各行為について差止めを求めているのは,同日までであるから,上記延長登録に係る期間における本件特許権の効力については,検討を要しない。)まで,被告DKSHに対しては被告製品1の輸入及び譲渡の差止めを,被告岩城製薬,被告高田製薬及び被告ポーラファルマに対しては被告製品2(被告岩城製薬については被告製品2(1),被告高田製薬については被告製品2(2),被告ポーラファルマについては被告製品2(3))の譲渡及び譲渡の申出の差止めを,それぞれ求めることができる。

開催日
事件番号平成25年(行ケ)第10271号
技術分野食品
キーワード実施可能要件
担当弁理士安西弁理士
原告株式会社JKスクラロースジャパン
被告三栄源エフ・エフ・アイ株式会社
判決結果審決取消
争点①明細書の記載要件(実施可能要件)
②特許請求の範囲の記載要件(サポート要件)
進歩性についての各判断の当否
事案の概要

特許無効不成立審決の取消訴訟。争点は,上記①~③だが、本検討会では①について検討した。

無効審決では、「アルコールの軽やかな風味」という用語の意味が明瞭であるといえるか否かについて、「アルコールの軽やか風味を生かしたアルコール飲料の風味を向上する」(本件明細書【0024】)の趣旨は,「苦味」や「バーニング感」が抑制される結果,アルコールが本来有している「アルコールの軽やか風味が生か」され,「風味が向上する」ものと理解され,「アルコールの軽やか風味」という用語の意味するところは明瞭といえると結論づけた。

しかし、判決では,以下の判断がされた。当業者は,本件発明の実施に当たり,アルコール飲料にシュクラロースを添加することによって,アルコールに起因する「苦味」及び「バーニング感」を抑える一方,「アルコールの軽やか風味」については「生かしたまま」,すなわち,減殺することなく,アルコール飲料全体の風味を向上させられるか,という点を確認する必要があり、この確認のためには,「アルコールの軽やか風味」の意味を明らかにすることが不可欠というべきである。しかしながら、本明細書からは、「アルコールの軽やか風味」という用語の意味は,不明瞭といわざるを得ない。そして,当業者は,本件発明の実施に当たり,「軽やか風味」については「生かしたまま」,すなわち,減殺することなく,アルコール飲料全体の風味を向上させられるか,という点を確認する必要があるところ,「軽やか風味」の意味が不明瞭である以上,上記確認は不可能であるから,本件特許の発明の詳細な説明は,「アルコールの軽やか風味」という用語に関し,実施可能性を欠くというべきである。したがって,「アルコールの軽やか風味」の意味するところは明瞭といえる旨の本件審決の判断は誤りであるとし、審決を取り消した。

開催日
事件番号平成26年(行ケ)第10027号
技術分野
キーワード
担当弁理士堺繁嗣
原告保土谷化学工業株式会社
被告出光興産株式会社
判決結果請求認容(審決取消)
争点引用発明の文言の解釈と選択発明の要件
事案の概要

選択発明の特許性が認められるためには、先行の公知文献に記載された発明と比較して顕著な特有の効果を有することが必須である。

開催日
事件番号平成25年(ネ)第10112号
技術分野食品(チーズ)
キーワードクレーム解釈
担当弁理士関誠之
原告雪印メグミルク株式会社
被告明治ホールディングス株式会社
判決結果控訴棄却
争点用語の意義、構成要件の充足性、均等
事案の概要

明細書の記載に基づき、「結着部分」は接合面全体でなく外縁部であると判断された。また、明細書の課題・効果に基づき、「内包」は完成品であるチーズ製品の外観から香辛料が見えない状態で内部に含み持たれており,見た目が通常のカマンベールチーズ製品と異ならないか否かという基準によって判断すれば足りるとされた。そして、被控訴人製品および方法は「香辛料を内包」という構成要件を満たさないと判断された。

開催日
事件番号平成25年(行ケ)第10346号
技術分野電気
キーワード新規事項の追加
担当弁理士菊池美香
原告京セラクリスタル、デバイス株式会社
被告有限会社ピエデック技術研究所
判決結果審決取消
争点新規事項の追加
事案の概要

訂正認容および特許無効不成立の審決の取消訴訟。争点は,特許法134条の2第1項ただし書及び同条9項が準用する同法126条5項違反の有無。

無効審決では、音叉腕の溝の態様と、音叉形状の屈曲水晶振動子の基本波モード振動での容量比r1を2次高調波モード振動の容量比r2より小さくなるように構成する態様は,それぞれが独立した態様であって,両方の構成を有する態様については直接的には記載されていないが、両方の態様による作用効果を期待するならば、両方の構成を有するような態様とすることは当業者であれば自然であり,当業者が本件特許明細書をみれば,それぞれの構成を有する態様のみならず,両方の構成を有する態様についても,実質的に記載されていると解釈するというべきであると述べている。

しかし、判決では,仮に,本件特許明細書の記載内容を手掛かりとして,当業者が本件追加事項に想到することが可能であるとしても,そのことと,本件特許明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,本件追加事項が新たな技術的事項を導入しないものであるかどうかとは,別の問題であり、本件追加事項は、本件特許明細書等に記載があるとは認められず、それが自明な事項であるともいえないとし、審決を取り消した。