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東北地方太平洋沖地震の発生に伴う救済措置について
平成23年東北地方太平洋沖地震により被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

さて、今回の地震によって、特許、実用新案、意匠または商標に関する手続きについて本来の手続きが困難な場合につき、各国・地域の知財庁から救済措置が発表されております。
以下に、日・米・欧三極の特許庁により、現時点で発表されております救済措置の内容をご紹介します。
  1. 日本国特許庁
    東北地方太平洋沖地震により影響を受けた手続期間の延長について(第2報)が、特許庁ホームページに掲載されました。同ホームページにおいて、手続期間の延長措置を受けるための具体的な方法が掲載されています。
    http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/hiroba/touhokujishin2.htm
    1. 特定非常災害としての指定
      東北地方太平洋沖地震は、特定非常災害と指定されました。従いまして、特定非常災害特別措置法第3条第3項に基づき、今回の手続期間の延長措置は、地震が発生した日()以後に手続期間が満了する手続から適用になり、最大まで延長されます。
    2. 今回の措置の対象手続
      措置の対象は以下のページの「別紙1」に記載された通りです。
      http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/hiroba/touhokujishin2.htm
    3. 今回の措置の対象者と延長期間
      1. 直接的な場合
        出願人又は代理人が被災したことによって、所定の期間内に手続を行うことができなかった場合に該当するときは、まで延長されます。
        【例】
        • 共同出願において、一方の出願人が被災して手続期間を遵守できなかった場合
        • 特許事務所は東京にあるけれども、出願人が被災して手続期間を遵守できなかった場合
        • 本社は東京にあるが、研究開発部門等が被災して手続期間を遵守できなかった場合
      2. 二次的な場合
        出願人又は代理人が直接ではないが、地震に起因した予期せぬ理由によりその手続に関する業務が不能となったことによって、所定の期間内に手続を行うことができなかった場合に該当するときは、手続を行うことができなかった理由が解消した日から14日後(を超える場合には)を期間の満了日とされます。
        【例】
        • 地震が発生した及び計画停電に伴い交通機関が大きく混乱したに手続期間が満了したもの。(以後に手続期間が満了したものについては、手続期間の満了日における具体的事情が又はの状況に準じているか否かで判断される。)
    4. 今回の措置を受けるための方法
      地震により影響を受けた手続については、手続書類に【その他】の欄を設けて、手続できなかった理由を記載します。また、措置を受けるにあたって事前に確認をとるための上申書を提出することもできます。以下のページの[手続書類の作成例:別紙2][上申書の作成例:別紙3]をご参照下さい。
      http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/hiroba/touhokujishin2.htm
    5. 上記の措置とは別の「書類の発送停止申出の受付」について
      特許庁では、上記の措置とは別に、「書類の発送停止申出の受付」による救済措置を行います。内容の概略は以下のとおりです。なお、この件については特許庁のホームページには掲載されません。
      1. 「書類の発送停止」とは
        「書類の発送停止」は、阪神・淡路大震災の際にも同様の措置がとられており、特許庁発出の書類等の受領が困難である代理人(又は出願人)に対して、申出により特許庁からの書類の発出を一時的に停止するものです。
      2. 対象者
        対象者は、東北地方太平洋沖地震によって被害を受け、特許庁から発出される書類の受領が困難な①青森県、岩手県、宮城県、福島県及び茨城県②福島原子力発電所事故に伴う避難指示地域及び屋内退避指示地域等(日本郵便の配達困難地域)に、住所又は居所を有する出願人又は代理人です。
        但し、対象者については、「日本郵便の配達困難地域」を基準にその範囲が設定されていることから、今後対象者の範囲が変更される可能性があります。
      3. 対象書類
        発送停止となる書類は、原則として特許庁から発出される全ての書類となりますが、番号通知(圧着ハガキ)、特許証(登録証等)等、一部発送停止が困難な書類等があります。
      4. 発送停止期間
        発送停止期間は、原則1月ですが、最大3月まで延長することが可能です。
      5. 申出方法
        代理人弁理士にご相談下さい。適切に申出手続きをさせていただきます。
  2. 米国特許商標庁
    米国特許庁は、東北地方太平洋沖地震の影響を考慮し、救済措置をとるとの発表が特許庁ホームページに掲載されました。同ホームページにおいて、救済措置の種類および救済を受けるための概要が掲載されています。
    http://www.uspto.gov/patents/announce/japan_relief_2011mar17.pdf
    以下、その要約を記載いたします。
    1. 出願人の要求があった場合の指令の取り下げと再発行
      米国出願の出願人、発明者等が今回の地震および津波の影響を受けた地域にいる場合に、指令に対する応答期限までの十分な時間前に、出願人等からの要求があったときに、米国特許庁は、上記指令を取り下げ、あるいは、再発行がなされます。
      上記指令は、オフィスアクション、特許許可通知、その他の米国特許庁からの通知を含みます。
    2. 維持年金支払い遅延時の超過料金の支払い免除(米国特許庁の請求権放棄)
      維持年金の支払が遅延した場合、種々の救済措置があり、救済措置に応じた超過料金が要求されます。例えば、支払期限後6ヵ月の猶予期間があり、猶予期間に入ると130ドルの超過料金が要求されます(米国特許施行規則1.20(h))。
      上記地震の影響による遅延に対して、特許権者の要求があれば、これらの超過料金を免除するとのことです。
    3. 出願書類に添付する宣誓書等の提出遅延時の超過料金の支払い免除(米国特許庁の請求権放棄)
      出願後に出願基本手数料、調査手数料、審査手数料、宣誓書等を提出する場合に、通常は、130ドルの超過料金が要求されます(米国特許施行規則1.16(f))。上記地震の影響による遅延に対して、所定の手順で手続をすることにより、これらの超過料金を免除するとのことです。
    4. 商標
      特許出願の場合と同様に、オフィスアクションの取り下げ、再発行、その他の救済措置が認められます。
  3. 欧州特許庁
    欧州特許庁が、3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の発生に伴う救済措置につき、3月15日に発表しております。欧州特許庁ホームページに発表された内容の概略は以下のとおりです。
    http://www.epo.org/law-practice/legal-texts/official-journal/information-epo/archive/20110315.html?update=law
    ※2015年時点では掲載終了しています
    1. EPC施行規則第134条(5)の適用
      施行規則第134条(5)は,当事者またはその代理人が居住するか営業所を有している地域に影響を与える自然災害またはその他の同様の理由などの異常事態に起因して期間満了が順守されなかった場合の保護手段を提供しています。
      従って、日本における自然的および技術的な災害によって影響を受けたあらゆる出願人,手続の当事者,または,その代理人はこの規定を行使できます。
      施行規則第134条(5)に従い,その自然的および技術的な災害の影響の理由によって期間満了に先立つ10日間の何れかにおいて郵便サービスが混乱し,かつ,郵便サービスの再開後5日以内に郵送が行われた証拠を,関係当事者が提出した場合,遅延して受領されたあらゆる書類は期限内に受領されたとみなされます。
      ※<参考>EPC施行規則第134条 (期間延長)
      (5) (1)から(4)までを損なうことなく,関係当事者は,期間満了に先立つ10日間の何れかにおいて郵便の配達又は発送が混乱し,その原因が異常事態,例えば,自然災害,戦争,内乱,規則2(1)に基づいて欧州特許長官が許可している技術的通信手段の何れかにおける全般的機能停止,又は当事者若しくはその代理人が居住し若しくはその営業所を有している地域における他の類似の事由であることの証拠を提出することができる。提出された証拠を欧州特許庁が認めるときは,遅れて受領された書類は,期限内に受領されたものとみなす。ただし,郵送又は発送が混乱終了後遅くとも5日目に行われることを条件とする。
      http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/pdf/epo/jyouyaku_kisoku.pdf
    2. PCT規則82、PCT規則26の2.3の適用
      特許協力条約(PCT)のもとでの期間満了に関しては,出願人はPCT規則82に参照されます。しかし,この規定は優先期間には適用されません。
      優先期間の渡過後にEPOが国際出願を受領した場合,優先権の回復を適用することができます(PCT規則26の2.3)。
      http://www.wipo.int/export/sites/www/pct/ja/texts/pdf/pct_regs.pdf
  4. その他の出願国知財庁
    米国・欧州の他、各国・地域の知財庁における救済措置につきまして、以下の日本特許庁ホームページにおいてアクセス可能ですので、ご確認いただければ幸いです。
    http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/kokusai/kokusai2/touhokujishin_sochi.htm